秋には生徒側も自分の学力がどの大学のレベルか分かってくる。目標に到達できそうにないと自覚する生徒が出てくるのが晩秋、十一月の頃だ。あくまでも本人の意見を尊重するが、自暴自棄にならないよう細心の注意を払いつつ目標校の「調節」をする。特に秋口からの予備校は精神的ケアが大切だ。生徒の中には、新学期四月の開講で再び顔を合わせる者もいる。心ならずも二年目(もしくは三年目)の浪人を迎える生徒である。本人の意志が強くかつレベルの高い大学一本に絞った結果、再度挑戦する者はこちらがあきれるくらい明るい。逆にすべり止めの大学にまでも振られた生徒は暗い。相手も自分も最初が肝心だ。道で会った友人に接するがごとく自然に励ますと、相手も緊張を解いてくれる。七十八歳の平均寿命として浪人の一年や二年、七十八分の一のずれにすぎない。長いスパン(期間)で見ることで、もう一回元気になってもらうのだ。自分の中ではぼんやりとイメージで考えていても、まだきちんと言葉として把握できない世代である。極力、彼ら自身の思いを彼らの言葉に置換する努力を我々予備校講師はしている。