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死んでしまえばタダの肉?

スペイン観光の目玉「闘牛」は、生で見ると特にその迫力に圧倒される。体重五百キロの巨体を揺すり獰猛に土を蹴っていた闘牛は、闘牛士の一撃で地面に倒れ、誇り高き死を迎える。やがて角に荒縄がかけられ、二頭の馬によって場外に引きずり出されていく。ふつうの観光客が目にするのはここまで。しかしこのあとの闘牛の行く末がなんとも寂しいものなのである。大きな闘牛場には解体場が併設されていることが多く、さっきまで勇敢に戦っていた闘牛は、鮮やかな手さばきでわずか数分のうちに枝肉にされる。そして市場に出回ることになるのだが、スペインには数店の闘牛肉専門店があり、そこへ卸されることも多い。ところが専門店で売られている値段はなんとふつうの牛肉の半値以下。これではあまりにも闘牛がかわいそうだ。聞けば、闘牛肉は色が濃く、黒っぽいような赤色でいかにも硬そうで古そうに見えるため、お客が買わないのだとか。つまり祭りとしての闘牛はその死に様についても論評したり、さまざまな象徴的な意味を持たせたりしているが、死んでしまえばただの一頭のウシにすぎない、ということなのだ。名誉ある死をとげた闘牛だから、その肉にもプレミアがつくということはいっさいないらしい。肉店の主人の話では肉の色が黒っぽいのは、死んだときの体温が高かったためだという。そしてステーキにするなら塩だけで他に何のスパイスもいらないそうだ。それだけ肉の旨みが強く出ていて、おいしいということ。現地の人にあまり人気がないのがもったいないほどだ。バルセロナのような観光都市に行けば、観光客相手に闘牛料理を出すレストランもある。果たしてあの勇ましい闘牛たちの味はいかがか、興味のある人は、試してみては?

進化する「アメリカずし」の味わい方

ヘルシー志向と相まってアメリカでもスシ(Sushi)人気は高まる一方だ。それとともにオリジナルな「アメリカずし」が続々と開発され、LAあたりの寿司屋には日本人にも分からぬネタがズラリと並ぶようになった。例えば、LA市内のとある「スシバー」(SushiBar)に入り、その注文書を見ると、こんな具合である。1.ABALONEはアワビ。2.CRABは力二。3.EELはウナギ。4.JUMBOCLAMはミル貝。5.MACKERELはサバ。6.OCTOPUSはタコ。7.OYSTERはカキ。8.REDCLAMは赤貝。9.REDSNAPPERはタイ。10.ROCKCODは味が金目ダイに似た現地魚。11.SALMON(サケ)。12.SCALLOP(貝柱)ここまでは、英語さえ分かれば内容は想像できる。だが、現地には知らないネタも多い。そろそろ得体の知れない「アメリカずし」が登場し始める。まず、13.SCALLOPSPは、細かく切った貝柱にネギとマサゴを加え、マヨネーズで和えたものだ。14.SEAURCHINはウニ。15.SPANISHMACKERELはスペイン・サバ。これも現地の魚だ。16.SQUIDはイカ。17.SWEETSHRIMP、これは甘エビかと思ったらやっぱりそうだった。18.TAMAGOは卵。19.TUNAはマグロ。これなどはよく分かる。20.TUNASPICYはスパイシーなマグロ。これは人気のある「アメリカずし」で、店によって多少味付けは違うが、マグロのたたきを豆板醤やラー油で味付けし、手巻きにした人気メニューで、非常に美味しい。また、サケの皮とカイワレとカツオ節を入れて巻いたサーモン・スキンロール。あるいは平貝とマッシュルームを、マヨネーズと卵黄で和えてグラタン風にクックした“ダイナマイト”もアメリカのどの寿司屋にもある人気メニューだ。こうした人気メニューに加え、その店にしかないという「スペシャルずし」もアメリカでは無数に生みだされている。例えばCATERPILLARROLL(キャタピラーとは「いもむし」のことでウナギと卵とモヤシを具に巻き、更にその上に薄切りのアボカドを入れて巻いたもの)。PHILADELPHIAROLL(サーモンにクリームチーズ、アボカドを載せたすし飯を海苔で巻いたもの。寿司の中にチーズが入るとは、アメリカ人ならではの不思議な味覚だ)。TARANTULAROLL(名前は恐ろしいが、カリッと揚げたソフトシェルとごぼうを具に海苔とトビコで巻いたスペシャルずし)。このほか、握ってくれるシェフが独自に考案したオリジナルなスペシャルずしもある。例えば海老とトビコとうずらの卵を巻いた、その名も“LOVEBOUT”というカップル向きメニューだ。「アメリカずし」は注文の仕方も日本とはかなり異なる。またCALROLLDはカリフォルニア巻きディナーの意で、カリフォルニア巻き3本に味噌汁つきの意味。NIGIRISPは握り9ピースにカリフォルニア巻きと味噌汁を指す。SUSHIMANSPは客の要望に応えて特別に作るか、場合によっては、スシマンと呼ばれるシェフのおまかせ料理を意味している。日本人だからといって寿司ならなんでも知っていると思ったらもう間違いなのだ。

東北では食事が簡素なところが多い

東北では食事が簡素なところが多いが、秋田は別である。酒は「爛漫」とか「高清水」といった有名ブランドも多く、日本酒の消費量は日本一である。郷土料理では、ハタハタという魚を腐らせてつくるベトナムのニョクマムに似た風味の調味料を使ったしょっつる鍋などがよく知られている。それに秋田の人は漬け物を「がっこ」と呼んでお茶請けにまでするほどだが、「いぶり漬け(大根の薫製)」にはとくに味わいがある。我慢強いが派手なことは結構好きで一度決めたら頑張るというのが県民性で、お祭りや民謡も大好きである。秋田の竿灯まつり、横手のかまくら、男鹿のなまはげは日本を代表する祭りや民俗行事である。「かまくら」と呼ばれる雪の家は絵になる風俗であるが、いまでは、冬でなくとも横手の「秋田ふるさと村」というテーマパークで一年中体験できる。